「相続登記」がされない理由とは
ご親族が亡くなり、相続が発生して遺産の中に土地や建物といった不動産があった場合、相続後に不動産の名義変更を行う手続きを「相続登記」といいます。
不動産が自己の所有であると明確化するために、登記はしておいた方が良いのですが、2020年1月現在、相続登記は義務ではありません。
実際に相続登記をしないという選択をする方もいらっしゃるのですが、なぜ相続登記がなされないのでしょうか。
理由は様々ですが、
- 相続人同士で協議がまとまらない
- もはや相続人が誰なのかわからない
- 相続登記する必要性を感じない
というのが代表的な例ではないでしょうか。
①のケースは相続人同士で遺産分割協議がまとまらないケースです。協議がまとまらないままほったらかしになっている状態です。
①のケースをそのままにしておくと、②のケースになることが多いです。例えば親の相続が発生し、その子供たちだけが相続人だった場合、相続登記がまとまらなくても相続人が誰なのかははっきりわかりそうなものです。そこでどうにか子供同士で話し合って解決すればよいのですが、解決しないまま子供たちの相続も発生した場合、今度は孫たちに相続権が移ります。そうなってくると相続人自体の数が増えるとともに、親戚付き合いが薄いような場合、誰がどこにいるのかさえわからない状態になってきます。その状態から相続登記をしようと思ってもなかなか大変です。
③のケース「相続登記の必要性を感じない」というケースについて、例えば親一人子一人の状態で親に相続が発生したとします。親の相続財産は自宅一つだけで相続税はかかりません。子はその家にずっと住んでいたとします。この場合、相続人はその子一人で確定します。子自体も自分の持ち物だと疑わないでしょうし、相続税納税資金確保の必要性もないでしょうから、相続登記までする必要性を感じないのです。他にも売れる見込みがない土地や、売れたとしても大した金額にはならず、何なら売るための費用の方が高くつくなどという場合、そのままになっているケースがあります。
今後相続登記は義務化される動きがあります。
そうなった場合、既に相続登記がなされていない物件はどうなるのでしょう。
次の記事で相続登記の義務化について詳しく紹介します。