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「相続登記」が義務化の方向へ!

もし相続が発生し、その遺産の中に不動産が含まれているというのは、よくあるケースですが、受け継いだ不動産を自分のものだとはっきりさせるためには「相続登記」が必要だということをご存知ですか?

相続登記は相続が発生したら自動的になされるものではなく、相続人同士で話し合い、自ら申請しなければなりません。ずっと住んできた自分の家だからという認識があっても、この登記手続きをしなければ自分の名義に変わらないのです。

実は日本ではこの相続登記がなされていない物件が今問題になっています。

2016年の地籍調査によると、日本全体における「所有者不明土地」の割合は約20%で、九州本島の面積を上回るとのことです。「所有者不明土地」とは読んで字のごとく、「誰のものかわからない土地」のことで、この大きな原因が相続登記がなされていないことにあるようです。このままでいくと所有者不明土地は増える一方で、2040年には北海道の面積に迫るのではないかと言われています。

では、なぜ問題にされているのでしょう。

問題視すべき点はいくつかありますが代表的なものとして、

A:誰に管理責任があるかわからない B:公共事業がすすめられない C:経済的損失 というのが大きな点ではないでしょうか。

まずA:誰に管理責任があるかわからないという点ですが、例えばお子さんの通学路に今にも倒壊しそうな古い空家があったとします。「この改善をしてもらいたいのだけれど、相続人が定まっておらず誰に改善を要求すればよいかわからない」となるのです。このような空き家は「特定空き家」とも言われることがあり、所有者不明土地の部分ではなく、他の面からも問題視されています。

次にB:公共事業が進められないという点です。例えば用地買収をして道路を広げる、公園を作るなどする場合、名義が定まっていないとその事業はそこでストップします。相続登記がなされていないことが原因で途中までしか道が広げられなかったなどというケースはどの自治体でも見受けられます。

C:経済的損失という点に関してです。相続登記がなされていない不動産は基本的に売却することができません。そのため、売りたくても売れない土地というのはそこら中にあります。これにより経済の循環を妨げ、損失が発生しているという目線もあります。

政府は所有者不明土地問題を喫緊の課題として取扱い、「所有者不明土地対策の推進に関する基本方針(H30.6.1所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議決定)」を打ち出しました。これによると、2020年を目途に制度の改正実現を目指すとのことです。その制度改正の中に、「相続登記の義務化」というものが盛り込まれています。

2020年1月現在、相続登記義務化の具体的な内容は発表されておりません。しかしながら、義務化されるという以上、ある程度強制力を持って登記をなされたり、相続登記実施の期限が決められたりされるかもしれません。

相続を受けた際や、相続を検討されている方は、登記については必ずしなければならないものとして、再度認識する必要がありそうです。

今後の動向を注意しましょう。

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